稀哲さんに回せ!
前にも少し触れた試合ですが改めて書いてみます。
この試合はファイターズ、ベイスターズで活躍し2014年からライオンズに加入していた森本稀哲選手の引退試合となりました。
ベンチスタートとなった森本選手は森友哉選手との交代で8回表の守備から登場します。
打順は7番に入りましたがこの時点でライオンズはリードしており、8回裏の攻撃は1番からだったため森本選手に打席が回らない可能性は低くなっていました。
当時チームはCS争い中で僅差の展開だったためこのような起用となったようです。
しかし引退試合なだけにもう少しうまい起用はできなかったのかとテレビで観戦しながら思ってしまったのを覚えています。
森本選手自身も自分には打席が回ってこないと思っていたようです。
しかし8回裏の攻撃が始まるとベンチから「稀哲さんに回せ!」の声が上がります。
すると先頭の秋山翔吾選手が2塁打、2番の渡辺直人選手が死球で出塁します。
3番の浅村栄斗選手はバントを試みると相手の悪送球で1点を追加します。
更に4番の中村選手は犠牲フライを放ち更に1点を追加しました。
そして1死1塁の場面で5番のメヒア選手が打席に入りますが、打球はゲッツーにおあつらえ向きのサードゴロとなり万事休すと思われました。
しかしメヒア選手は普段見せないほどの全力疾走で1塁はかろうじてセーフとなります。
続く6番の栗山巧選手は粘りを見せ際どい判定もあったものの四球を選びました。
こうして味方打線の粘りで打席が回ってくる事が決まった瞬間、ネクストバッターズサークルの森本選手からの目からは大粒の涙が溢れ出していました。
その光景を中継で見ながら同じく涙が出てきてしまいましたし、今でも思い出すと目が潤んでしまいそうになるほどのシーンでした。
結局森本選手はサードゴロに倒れましたが最後に打席に立てて本当に良かったと思います。
明るいキャラクターとパフォーマンスが売りの選手でしたが野球への姿勢は真剣でしたし、ベンチから自然に声が上がりメヒア選手も全力疾走でなんとか打席を回そうとするなど、ファンだけでなくチームメイトからも慕われた選手だったのだなと感じた引退試合となりました。
そしてこの年はチーム自体が低迷していたシーズンでしたが、この試合で見せた一体感をシーズン序盤から出せていれば優勝争いにも加われたのではと思えたほどの試合でした。

↑ポチッとして頂けると嬉しいです
スポンサードリンク